たまにラグビー中継を見ていて、解説者が発するラグビー用語をまとめました。
大前提としてラグビーには、7人制・10人制・13人制・15人制の競技があります。
7人制:セブンスと呼ばれ、五輪競技でもあり、ワールドツアーなどの国際大会も多い人気種目。
10人制:マレーシア発祥の競技、テンズと呼ばれる事もあります。15人制と同じWRが連盟組織となります。
13人制:ラグビーリーグと呼ばれ、オーストラリア(NRL)や欧州のスーパーリーグが有名。15人制とは別組織。
15人制:ラグビーユニオンと呼ばれ、日本で見られる(一般的)高校・大学・社会人ラグビーです。
ラグビー用語集
読んで「役立つ」かは分かりませんが、気になった用語があれば覚えてください。
間違っていたらゴメンなさい。
アンザックデー(ANZAC Day)
オーストラリア・ニュージーランド・クック諸島・ニウエ・サモア・トンガ の休日。
毎年4月25日、第一次世界大戦のガリポリの戦いで勇敢に戦った軍団(アンザック)の兵たちと、国の為に尽力した人々のために追悼式が行われる。
スーパーラグビーでも、4月25日の入る週の試合では、両チームの選手がピッチ上で黙祷しセレモニーが行われます。
インパクトプレイヤー
目立つ選手のことではありません。
主に後半残り20分くらいから出てくる、体格の大きな選手やフィジカルの強い選手をインパクトプレイヤーと呼びます。
経験豊富なベテラン選手や大柄な選手は、80分フル出場することは難しいけど、残り少ない時間から登場して、味方にも相手にもインパクトを与える選手。
スクラム強化やボールを持って突進するので、インパクト(衝撃)と名付けられたのでしょうか?
ウォークライ
ウォークライとは、試合前に相手チームを威嚇し、自信を鼓舞する「伝統儀式」ですが、本来は対戦するチームに対しての敬意と尊重の表現と言われています。
(高校野球で見られるエールの交換みたいな感じでしょうか?)
ラグビー代表チームだけではなく、他のスポーツや学生チームなど多くのチームが、独自のリズムと振り付けで試合前に披露します。
国により呼び方が違います。
- 「ハカ」:ニュージーランド
- 「シピタウ」:トンガ
- 「シヴァタウ」:サモア
- 「ジンビ」:フィジー
エスコート
進路妨害
特に多く見られるのは、ハイボールを追いかける相手選手のコースに立ち止まり邪魔する行為。
相手選手は上空のボールを見ながら走るので、邪魔をする妨害選手が目に入らず接触するシーンが多く見られます。
オーバーライド
ペナルティーなどでレフリーが笛を吹を、プレーを止めます。
しかし、笛が鳴ったことに気づかず、プレーが継続され、更に別のペナルティーが発生する。
このような場合、一般的にはレフリーが笛を吹いた後のプレーは全て無効になりますが、危険度の高いプレーなどに対しては、笛を吹いた時点から後のプレーを上書きして、該当選手にペナルティーを科すことができるます。
レフリーが両キャプテンに説明するときに「オーバーライド適用」と説明します。
キャップ
代表キャップは代表戦(国際テストマッチ)に出場した試合数のこと。
野球やサッカーでは、50試合とか100試合出場と言いますが、ラグビーでは「キャップ」と称します。
由来は、代表に初めて選ばれ試合に出場した選手に対して、記念品として帽子(キャップ)が与えられたことから、「1試合=1キャップ」と呼ばれるようになりました。
クラウチ バインド セット
レフリーがスクラムを組む選手に対して、同じタイミングでスクラムが組めるように、「クラウチ → バインド → セット」と声を掛けます。
「クラウチ」は身をかがめる姿勢、「バインド」は1列の向かい合う選手同士が掴み合う、そして「セット」で互いが当たります。
グラスカッター
ハイタックルの逆「ロータックル」の反則です。
足首やスネあたりにタックルをすると、バインドをしていても危険なタックルとして反則を取られます。
タックルする姿が「草刈鎌」を使った草刈りに似ていることから、グラス(草)カッター(切る)と呼ばれています。
クルセイダーズ タイム
ラグビー解説者の大西将太郎さん(元日本代表)が作った造語です。
疲労から選手の動きが止まる時間帯でも、クルセイダーズの選手たちは常に「15人で守り、15人で攻撃する」タフさから生まれた言葉だと思います。
クルセイダーズ タイムの時間帯は?
後半の後半(後半20分過ぎ)と言っていました。
実際に、クルセイダーズは残り20分からの得点が多く、失点も少ないです。
サバティカル
英語訳は、「使途に制限がなく、職務を離れた長期休暇のこと」
簡単に説明すると、サッカーと違ってラグビーでは、自国リーグのチーム在籍していないと、代表に選ばれない暗黙のルールがあります。
なので、長年代表の為に国内のチームでプレーしてくれた選手に対して、特別待遇(ご褒美)として海外のチームに移籍しても、再び自国に戻って来ることを条件に、代表に残れる制度として「サバティカル」が使われます。
適応されるのは主力の代表選手だけなので、代表候補に入っていない選手は自由に海外でプレーできます。
年俸の安い南半球(ニュージーランド・オーストラリア・南アフリカ)の選手が、日本や北半球のチームに「サバティカル」として移籍することはあっても、元々年俸が高いフランスリーグの選手が南半球のチームに移籍してくることは99.9%無いです。
スコッド
最近は聞かないですが、最終メンバーに入る可能性のある選手。
一般的には、代表候補選手を招集する時などに「スコッド」の言葉が使われます。
スコッドに入った選手達は、練習やトレーニングを一緒にしながら振るいに掛けられ、最終登録メンバーが選ばれます。
ラグビーは練習中でも怪我で離脱する選手が多いため、大会ギリギリまで多くの候補選手を囲っておく必要があるのです。
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ダブルモーション
トライを狙ってゴールラインに飛び込むも、届かずトライできなかったが、寝転んでボールを持った状態で手を伸ばし、もう一度トライをすることを「ワンモーション」。
それでもトライを奪えず、もう一度試みることを「ダブルモーション」と言います。
ワンモーションでのトライは認められますが、ダブルモーションは反則なのでトライは認められません。
(タックルされた選手がダブルモーションを犯すと、ノット・リリース・ザ・ボールの反則となります)
その他、ラインアウトやスクラムにボールを投入する時、素振り(フェイント)をして投げ直す動作もダブルモーションの反則が取られます。
チームマン
練習や試合だけでなく、若手選手の教育など献身的にサポートするプレーヤーを「チームマン」と呼びます。
コーチやキャプテンを支える頼もしい存在となり、ラグビーでは「名誉ある隠れた称号」です。
ティア
ラグビーでは、世界ランキングとは別に「ティア」と呼ばれる階級制度があります。
ティア1:イングランド・スコットランド・ウェールズ・アイルランド・フランス・イタリアニュージーランド・オーストラリア・南アフリカ・アルゼンチン
ティア2:ワールドカップ出場経験のあるチーム
ティア3:ワールドカップ予選に出場し、年間を通した代表活動歴のあるチーム
一般的に、「ティア1」に入るチームは「ランキング上位に位置して経済力がある」と言われています。
しかし、ラグビー関係者やジーナリストの中には「ラグビー版カースト制度」と痛烈に批判する人たちも多くいます。
「ティア1」は王様、「ティア2」は奴隷とも言われる理由は?
例えば、ホーム「ティア1」、対戦相手「ティア2」の試合が行われると、全収益は一旦ラグビー協会に入り、双方のチームに分配されます。
しかし、その金額は!
選手一人当たりの報酬にすると、「ティア1」約3,300,000円、「ティア2」約61,000円という悲惨な数字が公表されました。
これ以外にも「ティア1」には開催国報酬として、残った利益のうち約9割を受け取ることができます。
テストマッチ
世界ランキング対象試合(国際試合)。
選抜チームと代表チームが対戦してもキャップは与えられませんが、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦に限っては、代表戦と同じ扱いとなり対戦チームの出場選手に代表capが与えられます。
DG ドロップゴール
競技場のスクリーンに表示されている「DG」は、ドロップゴールと読みます。
ドロップゴールとは、地面にワンバウンドさせたボールをキックして直接ゴールポストに入れるプレーです。
得点は3点。
キックしたボールがゴールポストとは全く違う方向に飛んだ時や、空振りした時は「ノックオン」の反則を取られる場合もあります。
バイウィーク
選手の体を休めるために、リーグ全体で試合の無い週を設けたり、各チームが順番に休みを取ることをバイウィークと呼びます。
日程表に「BYE」の表記があれば、その週は「お休み」です。
バイスキャプテン
副キャプテンです。
バインドオフ
スクラム1列目の選手が、対面(相手)選手の体から手を放す行為。
コラプシング(スクラムを崩す)原因となるので、反則になります。
バックアップメンバー
試合に出場する23人とは別に5人前後の選手が、試合直前まで23人と一緒に練習します。
その5人前後の選手こそが、バックアップメンバーなのです。
試合前の練習で用具を運んだり、タックルバックを持ってタックルを受けたり、試合直前まで縁の下の力持ちとして働くだけでなく、出場する23人の中から試合開始直前でケガをしたりすると、急遽交代要員として出場(レイトスクラッチ)する事もあります。
バーバリアンズ
ラグビー発送の英国で結成された、クラブハウスやホームグラウンドを持たないラグビー世界選抜チーム。
正式名称は、バーバリアン・フットボール・クラブ(Barbarian Football Club)、直訳すると「野蛮人」です。
Official home of the BARBARIANS(公式サイト) |
メンバー構成に国籍や年齢、代表歴などは無くノンキャップ選手も必ず選ばれます。
選ばれることは、ラグビー選手としては非常に名誉なことなので、リーグ戦の真っ最中でもクラブチームを離れて、バーバリアンズに合流します。
チームを結成する目的は、戦争と人種差別を撲滅するための活動とチャリティーマッチ。
1996年6月に阪神淡路大震災の復興支援として来日し、西京極球技場と神戸総合運動場で2試合が行われました。
メンバーは毎年入れ替わり、活動期間は各年により異なりますが、テストマッチシーズンの6月~7月と11月の試合が多いです。
出場する選手の多くは、初めてプロ契約したチームや学生時代のストッキング(ソックス)を履いてプレーします。
なかには左右で違ったストッキングを履く選手もいるので、テレビ中継があった時には注目して見てください。
バンカー・レビュー・システム
悪質なプレーに対して「イエローカード」か「レッドカード」かの判断に時間が掛かりそうな時は、一旦「イエローカード」を出して選手を10分間退場させます。
この10分の間に「第4の審判」であるマッチオフィシャル(TMO)、または外部審判員が、再度映像を確認し検証します。
(検証時間は8分以内)
「イエロー」相当のファウルだと確認できれば、選手は10分後プレーに戻れます。
逆に、悪質だと判断された場合は「レッドカード」に変更され選手は退場処分となります。
このシステムは、どちらのカードを出すか微妙なファウルの時に、何分間も試合を中断することを避けるための対策として、2023年2月から実験的に導入されました。
リーグや大会により「ファールプレー・レビューバンカー」と使い分けられている。
余談ですが、2022年のリーグワンではTMO(ビデオ判定)のために、5分を超える中断が10試合以上あり、ファンの間からは「TMOに頼り過ぎ」「判断が遅い」などの批判を浴びました。
ファルコン
オーストラリアのオリジナルラグビー用語です。
頭にボールが当たった時に解説者だけでなく、観客席からも「ファルコーン」って叫ばれます。
由来は?
1995年までオーストラリ(ラグビーリーグ)で活躍したマリオ フェネクさんのニックネームです。
フェネクの出身地マルタを題材にした映画「マルタの鷹」の原題「The Maltese Falcon」から「ファルコン」と呼ばれるようになったらしいです。
そして事件が!
公式戦でフェネクの頭にボールが当たる映像が何度も流れ、オーストラリア版の珍プレー好プレーの企画として「ゴールデンファルコン賞」が誕生しました。
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フィニッシャー
足が速くトライを獲れるる選手。
一般的にはウイングのポジションをフィニッシャーと呼ぶ人がいます。
特に、フィジー出身のバックス選手は、足が速く身体能力が高いので、海外のクラブチームは「フィニッシャーを探すなら、フィジーに行け」と言われています。
ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ
4年に一度、英国4地域から編成されるオールスターチーム。
英国ドリームチームとも呼ばれ、イングランド・スコットランド・ウェールズ・アイルランドの代表選手から選ばれます。
分かり易く説明すると、「アイルランド」と「イギリス」の混合代表チームと思ってください。
対戦相手は、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカの代表チームと4年ごとに遠征。
最近の試合は、2009年(南アフリカ)、2013年(オーストラリア)、2017年(ニュージーランド)、そして2021年は南アフリカに戻ります。
代表戦以外にも、その国のクラブチームや、選抜チームとも試合が行われる超過密日程。
12年に一度しか対戦機会が無いので、出場する対戦相手も非常に名誉なことで、ラグビー史にも名前が残ります。
ワールドカップに匹敵するほどの人気があり、4年間お金を貯めて、チームと一緒にツアーに出る英国人も多くいます。
名称が長いので日本では、「全英ライオンズ」や「英国ライオンズ」、頭文字を使った「B&Iライオンズ」と縮小して活字になることがあります。
ヘルドアップ
正式名称は、ヘルド アップ インゴールと呼びます。
一番多くみられるシーンは、攻撃側の選手がトライを決めようとするときに、守備側の選手が地面とボールの間に手や足を入れグラウンディング(トライ)を防ぐプレーです。
地面にボールが着かなければトライは認められないので、ゴールライン上の攻防でよく見られます。
ポゼッション
ボール支配率
1試合(80分)でAチームのボールをキープしたトータル時間が20分、Bチームが60分とするとポゼッションは、Aチーム20%、Bチーム60%となります。
ポゼッションが高いとボールを維持している時間が多いので、勝っているチームと思われますが、極端に実力差がある試合では、強いチームは短い時間でトライを獲り、弱いチームは攻撃(前進)できずに自陣でボールを回したり、後退したりするのでポゼッションが上がる現象が稀に起こります。
ボムスコッド
南アフリカ代表(男子15人制)の控え選手(6人)を例える言葉で、ボムスコッド(爆弾処理部隊)と呼ばれるようになりました。
一般的なチームの控え選手は、FW5人BK3人の構成でメンバー登録しますが、南アフリカ代表はFW6人BK2人を登録する試合が多く、19番から21番に運動能力の高い大型選手3人を入れておくことで、後半により一層相手FWにプレッシャーを掛けることができます。
FW6人にすると、BKは2人しか登録できないので、特殊ポジションであるSHの控えを22番に、23番にはSH以外のポジションを全てカバーできるユーティリティー選手が入ります。
ミディケーション
直訳すると「代償緩和」
ラグビーでは、危険なプレーなどでTMO判断になった時に、「偶発的」に起こったプレーを考慮し、本来「レッド」のところを「イエロー」に軽減されることです。
メディカルジョーカー
リーグ戦の終盤やテストマッチ期間に、欧州のクラブチームで良く聞きます。
チームに複数の負傷者が出たため、シーズン途中に補強する事です。
サッカーのレンタル移籍と似ていますが、ラグビーでは選手とチームが直接交渉するケースもあり、チームに在籍していないフリー選手やセミプロ選手がチームと短期契約する事もあります。
英語で「a loan deal」と表記されるので、日本語では「ローン契約」と表現されています。
レイトスクラッチ
登録メンバー発表後に選手を入れ替える。
練習などで出場予定の選手が負傷すると、登録メンバーの入れ替えが認められます。
ワンサイド ラック
相手チームがラックに入らない状態の事。
この状態ではラックは「不成立」となるので、オフサイドラインが発生しなくなります。
ディフェンス側は、この現象を利用することにより、オフサイドの立ち位置でもボールを奪いに行くことができるので「極めてグレーな秘策」と称されている。
2017年にイタリア代表は、イングランドに勝つための作戦として、故意にワンサイドラックを形成させたことが波紋を呼びました。
【2017年2月26日 イングランド vs イタリア】
ワンサイドでラックを形成したマイボール側も、オフサイドポジションの選手を除き、自由にボールを持ち出すことができます。
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AR
アシスタントレフリーの略。
両サイドのライン際でプレーを見るレフリーです。
役割:タッチ、タッチ インゴール、デッドボールライン、ゴールキック、ファウルプレー
その他、アシスタントとしての役割として、ノックオンやスローフォワード、ラインアウト時のノットストレート、オフサイドラインの監視と反則した位置の確認(リスタート地点)、反則した選手の番号チェックなど。
HIA
ヘッド インジャリー アセスメント(Head Injury Assessment)
危険なプレーとして、首や頭部に衝撃を受けた選手は、一旦退出させて試合担当医の診断を受けなければなりません。
退出した選手の代わりとして、最大10分間控え選手を一時交代として出場させることができます。
10分を超えても復帰できない場合は、負傷交代として退場となります。
(シンビンとは違って、ハーフタイム中の時間も換算されます)
TMO
テレビジョン マッチ オフィシャル(Television Match Officia)
レフリーが確認できなかったプレーや、危険な反則などをモニターを使ってリプレー検証する最終兵器です。
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